日本英文学会関東支部メールマガジン 臨時号 2024年12月27日
2024/12/27 (Fri) 19:17
日本英文学会関東支部メールマガジン
臨時号 2024年12月27日
山本洋平先生(明治大学)よりお知らせです。
****************************************
■シンポジウム(科研研究会)
越境する西部――多元的表象文化の時空間
1月11日(土)14:30-17:30
明治大学駿河台キャンパス
グローバルフロント1階(グローバルホール)
講師:
細野香里(慶應義塾大学)
石原剛(東京大学)
井上博之(東京大学)
ディスカッサント:
雨宮迪子(駒澤大学)
主催:科研費(基盤研究B):アメリカ(中/南)西部文学におけるトランスリージョナリズムとエコフェミニズム
アメリカ西部は西部開拓からニューウェストにいたるまで、時空を越えて多元的な表象を生み出してきた。本シンポジウムでは、細野香里氏、石原剛氏、井上博之氏を講師、雨宮迪子氏をディスカッサントとして迎え、アメリカ西部表象の虚像と実像に迫る。
■発表要旨
細野香里
ジョージ・リッパードの『メキシコの伝説』における南西部表象と拡張主義の幻想
アンテベラム期の扇情主義文学作家ジョージ・リッパード(George Lippard, 1822-1854)は、ベストセラー『クエイカー・シティ』(The Quaker City, 1845)で時代の寵児となりながら、死後長らく忘却されていたものの、近年再評価の途上にある。都市犯罪小説作品で知られるリッパードであるが、本発表では、彼の米墨戦争に取材した『メキシコの伝説』(Legends of Mexico, 1847)を取り上げ、本作における南西部表象がいかに同時代の拡張主義と共犯関係を結んでいるかを明らかにする。
石原剛
ネヴァダを逃れて――マーク・トウェイン自伝における決闘騒ぎとその真相
本発表の主眼は、若きマーク・トウェインが1860年代半ばの極西部ネヴァダで経験した決闘騒ぎの真相に切り込むことにある。具体的には、書簡における記述や地元紙の報道に加え、6種ある決闘騒動をめぐる自伝的文章を精査することで、トウェインが語らなかった真実をあぶり出す。「南北戦争」という「暴力の南部」を逃れて西部ネヴァダに移住したトウェインは、その数年後には「決闘」という「暴力の西部」を逃れてネヴァダを去ることとなる。これら南部と西部にまたがる暴力を巡る若きトウェインの逃亡が、トウェイン文学のその後の展開にいかなる創造的意味を持ち得るのか、考えてみたい。
井上博之
『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』における西部と時空間の複数性
ロング・テイク、ロング・ショットを多用し、ゆるやかなペースと静謐さ、問題の解決をもたらさない宙づりの感覚をあわせ持つ映像を特徴とするケリー・ライカート監督の作品は新しい西部の姿を提示するものとして歓迎されてきた。本発表では現代のモンタナで孤独に生きる女性たちを描く『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(Certain Women, 2016)における映像の特徴と物語の構成、それらの効果を検討し、複数の存在、複数の空間、複数の時間が構成する関係性の網の目として立ちあらわれる西部の姿について考えてみたい。
臨時号 2024年12月27日
山本洋平先生(明治大学)よりお知らせです。
****************************************
■シンポジウム(科研研究会)
越境する西部――多元的表象文化の時空間
1月11日(土)14:30-17:30
明治大学駿河台キャンパス
グローバルフロント1階(グローバルホール)
講師:
細野香里(慶應義塾大学)
石原剛(東京大学)
井上博之(東京大学)
ディスカッサント:
雨宮迪子(駒澤大学)
主催:科研費(基盤研究B):アメリカ(中/南)西部文学におけるトランスリージョナリズムとエコフェミニズム
アメリカ西部は西部開拓からニューウェストにいたるまで、時空を越えて多元的な表象を生み出してきた。本シンポジウムでは、細野香里氏、石原剛氏、井上博之氏を講師、雨宮迪子氏をディスカッサントとして迎え、アメリカ西部表象の虚像と実像に迫る。
■発表要旨
細野香里
ジョージ・リッパードの『メキシコの伝説』における南西部表象と拡張主義の幻想
アンテベラム期の扇情主義文学作家ジョージ・リッパード(George Lippard, 1822-1854)は、ベストセラー『クエイカー・シティ』(The Quaker City, 1845)で時代の寵児となりながら、死後長らく忘却されていたものの、近年再評価の途上にある。都市犯罪小説作品で知られるリッパードであるが、本発表では、彼の米墨戦争に取材した『メキシコの伝説』(Legends of Mexico, 1847)を取り上げ、本作における南西部表象がいかに同時代の拡張主義と共犯関係を結んでいるかを明らかにする。
石原剛
ネヴァダを逃れて――マーク・トウェイン自伝における決闘騒ぎとその真相
本発表の主眼は、若きマーク・トウェインが1860年代半ばの極西部ネヴァダで経験した決闘騒ぎの真相に切り込むことにある。具体的には、書簡における記述や地元紙の報道に加え、6種ある決闘騒動をめぐる自伝的文章を精査することで、トウェインが語らなかった真実をあぶり出す。「南北戦争」という「暴力の南部」を逃れて西部ネヴァダに移住したトウェインは、その数年後には「決闘」という「暴力の西部」を逃れてネヴァダを去ることとなる。これら南部と西部にまたがる暴力を巡る若きトウェインの逃亡が、トウェイン文学のその後の展開にいかなる創造的意味を持ち得るのか、考えてみたい。
井上博之
『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』における西部と時空間の複数性
ロング・テイク、ロング・ショットを多用し、ゆるやかなペースと静謐さ、問題の解決をもたらさない宙づりの感覚をあわせ持つ映像を特徴とするケリー・ライカート監督の作品は新しい西部の姿を提示するものとして歓迎されてきた。本発表では現代のモンタナで孤独に生きる女性たちを描く『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(Certain Women, 2016)における映像の特徴と物語の構成、それらの効果を検討し、複数の存在、複数の空間、複数の時間が構成する関係性の網の目として立ちあらわれる西部の姿について考えてみたい。